3. レイヤ

レイヤ(Layers)」はDPQMを機能目的に応じて論理的な階層に分離するものである。ODS-RAMは、「①データ(Data)」、「②トランザクション(Transaction)」、「③アイデンティティ(Identity)」、「④セマンティクス(Semantics)」の4つのレイヤで構成される。

ODS-RAMにおいて、それぞれのレイヤは互いに独立しており、疎結合する形で一連の分散データマネジメントに係る機能を果たす。 つまり、ODS-RAMのレイヤは分離可能性を有しており、ODS-RAMを採用する者は、それぞれのドメインが有する性質・特性に応じて、必要となる階層数を選択的に決定することができる。 例えば、ある横断的なドメインにおけるデータの宛先及び意味が明白な場合、Ontology as a Product、つまりL4~L2で構成されるセットの実装を省略して、L3~L1でまずはData as a Productを先行実装しても構わない。

ODS-RAMはそれぞれのドメイン及びユースケースに応じた柔軟性を重視しており、後方互換性の担保により、必要に応じた事後的なオプトインを許容することで、成熟度に応じた選択肢を提供する。以下では、4つのレイヤそれぞれの機能について詳細を記載する。

3.1 データレイヤ(L1)

データレイヤ」(以下、L1という。)はデータに係る「利用制御(Usage Control)」の問題、「データ改竄(Data Tampering)」の問題及び「データ品質(Data Quality)」の問題を解決するレイヤであり、CWA(Closed World Assumption)の挙動を選択的に採用する。

L1は、データ提供者のデータ利用制御及びデータの完全性・品質を担保したデータの取り扱いについての機能を要求する:

  • データ提供者が行使する利用制御については、データ共有契約等に定める範疇において、自己決定の機会が提供され、その行使が適切に反映されなければならない。

  • それぞれのデータの完全性及び品質特性の項目は対象とするドメインごとに多様であり、一律の水準を設けるのではなく、データの特性に応じた完全性や品質が担保されることを想定する。従って、データの完全性及び品質そのものについては規定せず、その評価・算定方法及び結果についてのみ、データ利用者が参照可能な形で提供されなければならない。

3.2 トランザクションレイヤ(L2)

トランザクションレイヤ」(以下、L2という。)は「形態(Modal)」の問題、「要求(Query)」の問題及び「手段(Protocol)」の問題を解決するレイヤである。 L2は、データの形態(構造、半構造、非構造等)を問わず、また要求や手段(同期、非同期等)にも非依存の方式によって、データの提供者と利用者のトランザクションプロセスを制御できなければならない。

3.3 アイデンティティレイヤ(L3)

アイデンティティレイヤ」(以下、L3という。)は、「認証(Authentication)」の問題及び「認可(Authorization)」の問題を解決するレイヤである。

L3は、「クレデンシャル(Credential)」を検証可能な形で提供することによる、必要な水準の認証及び認可を要求する:

  • データ提供者及び利用者の実在性の検証と認証により、必要水準の信頼性を確保しなければならない。

  • データ提供者が自己決定するデータの保存・利用条件・粒度に基づくアクセス制御を行うことで、必要水準の機密性を確保しなければならない。

3.4 セマンティクスレイヤ(L4)

セマンティクスレイヤ」(以下、L4という。)は「宛先(Addressability)」の問題及び「意味(Semantics)」の問題を解決するレイヤであり、OWA(Open World Assumption)の挙動を採用する。 L4は、「メタデータ(Metadata)」をアクセス可能な形で提供することによる、セマンティクス及びオントロジーの相互運用性を要求する:

  • 宛先に関するメタデータはデータまたはサービスにアクセスするために提供されなければならない。

  • 意味に関するメタデータは、データまたはサービスを利用するために必要な情報(入力/出力データ)の意味に関してユニークかつアクセス可能な形式で定義付けされなければならない。

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